高橋のぼる リーマンギャンブラーマウス (1)〜(4)

リーマンギャンブラーマウス 1 (1)
高橋 のぼる
講談社 (2000/03)
売り上げランキング: 444,662

リーマンギャンブラーマウス 4 (4)
高橋 のぼる
講談社 (2001/11)
売り上げランキング: 310,162

この漫画のダイナミズムはギャンブルの非日常性と勝ち続けるギャンブラーが落ち行く相手を見下げる事にある、というと嘘になる。これは世にも珍しいギャンブル&ギャグという取り合わせを行った実験的作品なのだと思われます。ギャンブルものの漫画はそんなに読んでませんが、ギャグを取り入れているケースというと片山まさゆきの麻雀物ぐらいしか思い浮かびませんね。でも片山まさゆきはシリアスらしいシリアスに偶にギャグを混ぜるという手法は余り使わないのと、ギャンブルで身持ちを持ち崩すノワール的味わいは持ち得ていないので比較するのはお門違いという奴でしょう。
最近のギャンブル物で出色の出来なのは福本伸行の一連のシリーズでしょう。カイジ、アカギ、天と創作ギャンブルを含む博徒にはたまらない話を書いてその荒削りというよりは戯画と化している絵柄でも一時代を築きつつあります。それに対して後発ではありますが、果敢に本作は創作ギャンブル物の興奮を伝えるに足る作品を仕上げようと頑張っています。
ただ、シリアス一辺倒やノワール含有というよりは常勝形式のTV時代劇的定型漫画なのでそこがネックの人が居るかもしれません。加えてギャグやセクシャルな部分もかなり多めに含んでいます。ギャグに関してはお色気系な要素を笑いに還元しようとする変化球に出ていますね。特に女体盛りシリーズが出てきてマウスが逆転ってのは黄門の印籠並みの効果がありますから飽きる人は飽きるかもしれません。でも私はその常人の感覚から半歩ずれてしまっているそんな間違ってしまっている寒いはずの笑いの感覚がどうにも好きでたらないんですわ。そこに肉慾が絡んでいたり、間違いまくっている健気さとか、唐突すぎる淫猥で露骨なセックスやら馬鹿馬鹿しいを通り越してある種の新鮮さを感じるようになりました。
決して上手いとは言えない絵柄で頑張っているからこそなのかもしれません。劇画方向へ転べば上手いことまわりそうな感じがする。
未だにエロを前面に押し出した作品を書いているんだったら悲劇だなぁ・・・。
女体盛りを見直したいあなたに是非。