劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者

というわけで見てみました。TVシリーズの方は全て見たわけじゃあないんですが概略がわかってたんですんなり溶け込めました。
前知識としてあくまで別物として考えた方が佳いとか言うことを言われていたので(そういうもんなんかなぁ)とか思ってましたが、TVシリーズを前提とした部分が頭に入っていれば気になりませんね。
エド錬金術の使えないこちらの世界に、アルは錬金術のある向こうの世界に、二つの世界で隔てられた二人は再びまみえることは不可能のはずでしたが、ドイツのナチスのオカルトな陰謀により、開くはずのない門が開かれることになります。
安易な大団円に飛びつかない胆力には絶句をもって賞賛を送りたいと思います。ただ、これをもってエンドとすることには認めがたいこともまた事実です。ハッピーエンドこそがエンターテイメントの至上命題だと私は思っています。一部それを認めたくないと思っている気持ちもありますが、実際天秤に過ぎないので傾き加減如何ではないでしょうか。しかしまぁ、100分という長尺を感じさせないのは流石ですねぇ。
さて、追加のエピソードは幕が下りたわけですが、このシナリオを書いた「會川昇」は果たしてどうするのでしょうねぇ。完全に終了させてしまう?それとも再び幕を開くのでしょうか?これは安易に堕するかの分水嶺となるでしょうね。とはいえ、「向こう側からの扉を開ける人物」は失われました。ということはこちらから扉を開いたからといって向こう側にいくことは出来なくなった、そう考えるべきでしょう。人体錬成&賢者の石もそうそう手に入れることは難しいでしょうし。そうすると「向こうでたまたま扉が開かれる」という現象が有り得ない限り行き来は出来ないでしょうね。更に今回「扉を閉じなければ繋がりっぱなし」ということで、扉を閉じる人物が必要になりました。えーっとここまで縛りきつくすると続編を作るならば激しく恣意的な物語にならざるを得ないんですけど・・・、大丈夫ですか?w。冒頭の回想といい伏線の伏線を残してたりするのでやりそうな感じはするんですが・・・。どうやら3/29に「鋼の錬金術師 PREMIUM COLLECTION」とかいうOVAが出るらしいじゃないですか。楽屋オチを使った物らしいんで、正統続編と見るのは難しいですけど劇場版のあの終わり方だとほとんどの人は納得いかないと思うんですよね。エドとアルのカップリングハァハァな人なんてごく少数でしょうし・・・。きちんと戻ってウィンリーと・・・と考えるのはセンチすぎますか?戻ってみたらウィンリーはもう結婚していて子供も居て・・・なんか所帯くさい話だなぁ。しかもめっさ鬱るに十分なある意味ダークストーリーにする気は多分無いんだろうけど、収集のつけようをどうするのか、本当に謎。
とりあえず、結末にくだを巻くのは終了として、どんな内容だったか列挙。
ナチスが出てきます。勿論ヒットラーも。いやもう、ナチスを悪者にするのはちょっとアレかと。段々ナチス性悪説も罅が入っているわけですし一概に偏見だけでやっちゃうのも微妙ですねぇ。ただ、販売の世界戦略とか考えると悪者に丁度いいんですよね。それはわかってるんで、四の五の言うべき所じゃないかもしれません。なお、ナチスは伝説として様々なオカルトと結びついていたとかUFOを作っていたとか南極に基地があるとか、南米を拠点として色々やっているとかいう話がありますから、絡めやすいってのもあるんですよね。
実は二つの世界はリンクしているのは言うまでもないところですが、同じ顔をした人物が登場したりします。大総統ことキングブラッドレーやらヒューズ中佐やらライラやら・・・主に死んだ人間とホムンクルスですな。勿論中身は別個なんで気にしても仕方ないんですが、同じ名前だったりもするので狙いすぎですw。ちなみにアルと目の色が違うだけの名前が同じアルフォンスが出てきますが声は別人です。
作中はTVシリーズの二年後ということになってます。始まり部分はあまりにも説明台詞が鬱陶しいですがすぐ無くなりますのでご安心を。
声に関してはガヤに下手な人が多数含まれてましたね。あと、アルフォンス・ハイデリッヒ(錬金術使えない方)と劇場版ヒロインのノーアが下手すぎ。ノーアは兎も角ハイデリッヒの方はキャスティング担当者の完全ミス。アイドルとか連れてくんなよ。小栗旬は俳優らしいけど問題外。ノーアやってた沢井美優はまだましだけれどぎこちない部分は否めない。それ以外は問題らしい問題はないわな。
登場する軍服らしき物は完全創作くさいな。あんな軍服ってあったんだろうか?あともってるピストルがルガーP.08なのが通ですな。
個人的には二年の歳月の中で先生が死んでたことがちょっとショック。
最後ですが、本作は「第60回毎日映画コンクール」アニメーション映画賞を受賞したらしいですよ。