石田衣良 東京DOLL
あらすじ
MG(マスターオブゲーム)と呼ばれるゲームディレクター相良一登がコンビニで発掘したのは水科代利という女性。一目見てピンと来たMGは新作用のイメージキャラクターに使うためにちょっと強引に仕事に誘った。その場ではまだ仕事中ということで上がった頃に迎えに来るという形にした。当然怪しい人物でないことを証明しなければならなかったので汚い身なりを金のかかった服装へ変えることも忘れないようにした。
車で迎えに行ってやはりヨリのMGを見る目が変わるのが感じられた。とはいえそこまでなれなれしくなるとかそう言う態度でもなかった。MGは金持ちになって以来豹変する人間に慣れているのでそう言う人間の可能性も考えていたのだが、そう言うこともなかった。
ヨリは誘いにあまり乗り気ではなかったが、バイトが一月あたり50万もでるというのに揺れ動かされたようだ。彼女がバイトをする目的、それは美容師になるための専門学校への授業料を貯めるため。四ヶ月あたりで200万というのは非常に魅力的だったようだが、聞かれる。
「それって、週一でエッチして、裸の写真とか撮るの。わたしのまわりにも愛人やってる子いるけど」
MGは笑って答える。
「ガールフレンドは別にいる。セックスはなし。ヌードは……フルヌードはないだろうが、セミヌードぐらいはあるかもしれない」
ヨリは承諾した。
MGはヨリの写真を撮り続ける、一心不乱に。
感想
石田衣良十冊目。てか、もうこれで石田衣良は良いかなぁ、相変わらずだし。図書館にリクしてた奴は全部来たようだし、よっぽど面白いと伝聞を聞かない限りもう読む必要はなさそうですな。
今回はゲームネタ。作者の著作の中で方向性の似たアキバ＠DEEPの方がまだまし。今回は相当に無理有り。特に設定。
金持ちのゲームディレクターで、会社で制作する人間が五人？アホかと。それで３Dモーションキャプチャーとか語っちゃってるの？マジで有り得ない。作ってるのはRPGなんだろRPG、一人のディレクターの能力だけでやってるってMGあんたは堀井雄二*1か！
にしたって五人じゃ無理な物は無理。てかそんな状態で大作映像系RPGを作れるわけが無いじゃない。物理的に不可能ですよ。今時そんな小さい所帯じゃ大手メーカーの孫請け、ひ孫請けじゃないと有り得ない。若しくはエロゲメーカーかね。一体いつの話をして居るんだこの人は。ファミコンソフトやFMタウンズやらPC98でゲームを制作してるんじゃなくて現在のコンシューマーの話でしょ。リアリティなんぞかけらもありゃしねぇ。だからいうよ、もう。
ちゃんと取材ぐらいしろや
いつもあんた適当なんだよ。池袋ウエストゲートパークの時も取材しなかったろ。
しかも今回はそんな適当な設定の話を投げっぱなしジャーマンでほおりだしやがった。まとめられないんだったらずっと短編書いてろ。こんな本に1680円も払うのはおかしい。もっと面白い漫画を三四冊買った方がはるかにまし。
つかね、企画書と仕様書と原案の違いがよく分かってない人にこういう話を書かれるのは不愉快だ。
正直なところディレクターってのはこう言うのが主な仕事じゃないです。確かに原案なり、企画なりを出すのは重要だけど、むしろそれぞれのスタッフの意思伝達が主な仕事で企業の中間管理職みたいな役割なんですよ。タイムキーパー的な進行確認役でもありますがね。旧ワープの豚やチュンソフトの中村社長なんかはごくごく稀。企業の図体がでかくなればなるほど意志決定のケツ持ちでしかなくなるわけですよ。別にカリスマなんて現在の業界ではほとんど居ませんしね。現在語られるのは任天堂のあの人（名前ど忘れ）とかコナミの小島監督ぐらいなもんでしょう*2。坂口博信なんてFFで名が売れたけれども独りよがりなだけなのを映画制作で晒しちゃって今ではMSに行っちゃってますしね。
ゲーム制作になにか希望を持ってる人には悪いけど、世の中そんなにあまかぁない。ゲーム作って億万長者なんて旨い話はほとんどありゃせんのですよ。むしろ普通の企業以下な所ばっかり。使い捨てもざらだし、福利厚生がなってるところも少ない。アニメの動画マンほどじゃあないけどね。
にしても男性にだけ都合のいい話を書いちゃうあたり恋愛物を読むべき女性にも勧めがたいし、実に中途半端。むしろ単にポルノなだけな気がする。男性向けのラブファンタジーだしね。
漫画みたいな読み味と表紙の写真だけが長所かな。
正直人形ってのを言いたいだけなんとちゃうんか？そんな目的だけにこんな小説書かれてもなぁ。
40点。
もう完全にこの人の作品は見捨てた。
追記:作中に出てくる作品は『女神都市』ってのは明らかに女神転生からきてそう。でも女神って付く媒体の名前多いよなぁ。都市で頭に浮かぶのが『七都市物語』なのはやばいな・・・。
追記の追記:FPSをファーストパーソンシューティングなんてわざわざいいません。普通はFPSで通じます。てか略さないことになんか意味でもあるんかな？あとFPSって普通にヨーロッパでも人気があると思うが。RTSの方が人気があるとでも言いたいんかな。
蛇足:小説なんざこんなもんだと流して読むのが一番なんだろうが、この話に出てくるネタは矜持として譲れない。
