道尾秀介 背の眼

ASIN:434400731X

あらすじ

作家道尾が訪れた天狗の伝説のある山深い温泉宿周辺では、神隠しあった子供が4人もいるという。何の気なしに聞いていた道尾だったが、子供の首が見つかった白早川で気味の悪い声を聞いた。声は「レエ・・・・・・オグロアラダ・・・・・・ロゴ・・・・・・」と意味不明なことを言っていた。今も耳にこびりついて離れない。確かめにもう一度翌日に行っても聞こえ、想像の上で「ねえ・・・・・・ぼくのからだ・・・・・・どこ・・・・・・」に結びついて肝をつぶして這々の体で東京へ逃げ帰る。
気になってしょうがない道尾は、大学時代の友人に心霊現象の研究をしている男が居るので、その友人真備を訪ねる。「真備霊現象探求所」と書かれた名札の書かれたアパートの一室を訪ねてみたが電話をしても、呼び鈴を押してもうんともすんとも言わない。長時間そうやっていたら中から応答があった。ただ、勢いよく開かれたドアに頭をぶつけられたけれども・・・。出てきたのは女性で、北見凜という人だった。謝りながら手当をしてくれた所での説明では、新興宗教の教主との問答で結果教団をつぶすことになってしまい、教団の幹部が嫌がらせに来るのだという。電話に出なかったのも、呼び鈴を押しても応答がなかったのも、丁度その嫌がらせの集中していた時間だったらしい。
頭のけがを手当てして貰いながら北見女史から話を聞いていると真備が帰ってきた。詳しい事情を話すと、三人で現地へ行くことになった。
前回と同じ「あきよし荘」へ・・・。

感想

第五回ホラーサスペンス大賞特別賞受賞作。
劣化京極っていうのは当たってますなぁ。がんばって書いたんだろうけど、この本の中でわたしゃ「ホラー・サスペンス」という事を意識することは出来なかったし、中途半端な変格ミステリーとしてもダメすぎたというのはあります。キャラにアクが無く、語りに愛嬌もなく、ストーリーに勢いもなく、かなーり微妙な話でしたわ。
まぁ、選者のストーリーが冗長というのにはあまり当たらないと思うんですが、語りに魅力が無さすぎるあたりが気になりましたね。京極との決定的な違いはここかと。全体として「説明するために説明する」といった語り、キャラでの話のやりとりが鼻につきますな。ま、会話メインなのでまだ許せます。
致命的なのは読んでいる中でほとんどなんの感情の起伏も無かったことか。全然怖くないし、息を呑む場面もない、人死にが沢山出てるけど沈鬱さは0、常に坦々としすぎ。仲良しこよししかないんじゃ、つまらんわなぁ・・・。もっと勉強して出直して欲しい。50点。
ぐいぐい読ませる本ではないわな。惰性で読ませる本って感じ。予定調和臭が強いので平凡。
蛇足:京極夏彦ダメな人でもこれは読めるかもしれない。でも、面白いかは疑問。
犯人絞り込みの段階で犯人が分かるというどうしようもない構成。推理の要素入れるならもっとしっかり練り込まないと・・・。

参考リンク

背の眼
背の眼
posted with amazlet at 05.08.11
道尾 秀介
幻冬舎 (2005/01)
売り上げランキング: 262,858