奥田英朗 野球の国

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感想

今回はあらすじ取っ払い。なぜならこの本はエッセイか紀行文か私小説かかなり微妙なラインのお話なのですよ。あらすじなんてどこそこに行ったというぐらいのものしか無く、書いてみてもつまらんので省略としました。
一言で言うと野球大好き!な筆者が野球を生で観戦したいが為に旅をしてたらリフレッシュできたよという内容ですわ。味をしめた筆者は旅を一回きりにするのが惜しくなって連載の仕事にしてしまい、ちょくちょくお出かけをするわけです。問題点としては出てから2年半ぐらい経ってることですかね。鮮度が落ちてきてるのは確定です。賞味期限はいつかはわかりませんが、お早めに。
体裁は兎も角、奥田英朗の文章らしさは随所に現れています。のほほーんとしつつ、意思表示はしっかり。でも堅くなり過ぎず、クラゲのように漂いまくりと云う感じでしょうか。天真爛漫というと元気な印象があるのでちょっと違います。ダウナーな感覚が付きまといますかね。私には心地よいですが、人によりそうな予感。
しかし、小説読むつもりでゲットしたものの、小説じゃなかったのはけっこうショックでしたねぇ。ま、内容を確かめなかった方が一方的に悪い。でもそこそこ楽しめましたよ。
ただ、この本は野球を見るために、旅行をしてそれを文に纏めるっていう形なので、野球という競技のルールを知ってない*1と話にならないかと。さらに、野球の観戦をしたこと無いと臨場感は0でしょうねぇ。
作中に筆者の小説の作り方が書かれてましたが、奥田さんはプロットが作れないタイプの作家さんのようですね。プロローグ部をしっかり作って、その後は筆次第な書き方をするそうで、下記途中で頓挫した作品が結構あるそうです。不効率ですけど、作法は人それぞれなのでしゃーないですな。
にしても筆者はけっこう作中で金使ってるんですが、細かい金額まで何も描き込まなくても佳いんじゃないかとか思ったりするわけですよ。税金対策ですかね?それとも編集部に回すんでしょうか。領収書は取ってなさそうでしたが。飯にけっこう金かけてましたし、儲かってるのかなぁ。長者番付で見たこと無いけど。
イン・ザ・プールで奥田さんの文章に魅力を感じた方、本人を知りたいならこの本読むと佳いですよ。
本人はミーハーで美食家、東京から住居を移動したいらしいけど二の足を踏みつつ、ストレスを貯める、小説家なんかになるんじゃなかったと後悔している模様です。
70点。

参考リンク

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*1:知らない人っていうのは天然記念物級だと思うが