森岡浩之 星界の戦旗IV 軋む時空

あらすじ

戦争及び中立国がアーヴ帝国に臣下の礼を執る事関連を中途半端に途中でブッタギリ

感想

あらすじが手抜きなのは著者への揶揄です(ぇ
4年近く待たせた挙句の本の出来がこの程度というのには失望しました。インターミッションの辺りだけが見せ場でしょうかね。それ以外では概略だけで十分な気がします。
星界シリーズを知らない人も居るだろうから、一応簡単に説明しておきますね。
人類が宇宙開発の中で生み出した人類の遺伝子改良を行われた新人類アーヴという存在が居りまして、元々秘密に近い存在で有った事と失敗と片付けられた背景からすっかり忘れ去られておった訳です。アーヴは宇宙開発の過程で生み出されたということから分かる通り、宇宙での生活に特化した理想系であるようにつくられました。外見は分かりやすく青い髪の色と尖った耳が特徴です。
一方それから相当の年月が経ちまして、各地の惑星系に人類はコロニーを作っていったのですが、惑星に移民する事=根付く事だったため、ちょっとはなれ過ぎてしまうと、ほとんど記録に残ってるレベルで情報のやり取り以上の事はする事はなかったのです。そんな中忘れ去られていたアーヴは独力で星域の版図を広げ着実に帝国を築いていたわけですな。気が付くと人類が治めている小規模の国々は続々とアーヴから宣戦布告を受ける事となります。軍事テクノロジーのレベルで遥か先を行っているアーヴと人類とでは余りにレベルが違いすぎて、相手にならず続々と降伏していく事になります。
主人公のジントはそんな境遇の一国の大統領の息子でした。彼の父は一計を案じ、星系の統治権を差し出す代わりに自らをアーヴ帝国で貴族として取り立てるよう願い出ます。勿論世論に対してきっちり説明することなく内々に進めました。申し出は受け入れられたものの、当然国民の受けは非常に悪く、貴族と言ってもきちんと領土を治めているとは言いがたい状況です。ジントはその後、母星から遠く離れたアーヴの統治する惑星でアーヴの教育を受ける事となります。そしてジントは貴族の一種の義務である軍務の道へと進むのでした。その過程でラフィールと出会うのですよ。まぁ、これ以上の説明はくだくだしくなるのでやめますが、詳しく知りたい人は読むか、DVDでも見てください。アニメになっているので。
ま、端的に言ってしまうとスペオペ的な軍事小説なんですな。筆者の特徴はこの作品に限るならばとことんまで振り仮名を振る事です。文化形態が違うということを強調したいが為に固有名詞に独特の言葉をつけるのです。これは分類的に腑分けとかしたくなる人には狂喜する内容かもしれませんが、流石に四年ぶりに*1シリーズの続編を読んだ側としてはくどいのと鬱陶しいので読書意欲が削がれました。確か星界の紋章のあとがき前に付録で解説なんかがついていたはずですが、流石にそこまでして・・・と思うような感じでしたし。しかも、星界の紋章1〜3と星界の戦旗1〜3は人に貸したまま未だに返ってきてないという状況に有ります。おーい高山、頼むから返してくれorz。新刊で揃えたのに・・・。
気を取り直して文体の特徴について・・・。ほとんど三人称視点で偶に一人称視点での述懐が入る感じです。説明文的にくだくだしくなく、会話文が半分ぐらいを占める感じでしょうかね。ただ、本書に到っては掛け合い的な内容はほとんど無いです。三分の一ぐらいが新キャラクターの肉付けで終わってる感じでしょうかね。あんまり見るところは少ないと思います。続きものの上巻だけ渡された感じですね。単体ではとても面白いとは言えない内容です。40点

蛇足:頼むから田中芳樹みたいにならないで欲しい。まるでアルスラーン戦記だよこれじゃ。作者の気まぐれを待つなんて読者側からすれば切り捨てる要因にしかなりえないし。まぁ、なんぞ他のシリーズ物書いてたみたいだけど、ラノベがあふれ返ってる昨今じゃ、読者無くしたら即終了な気もするぞ。胡座かいてたら新規開拓は難しいだろうし。つーかなんで早川JAなのかが疑問ではある。

参考リンク

星界の戦旗 (4)
星界の戦旗 (4)
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森岡 浩之
早川書房 (2004/12)ISBN:4150307741
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*1:実際はもっとかもしれない