山文京伝 砂の鎖

読みたくない人も居るだろうから・・・。
そういう人はここからトップに戻ってくださいな。








































































2005年の12月25日に全二巻で発刊された本です。なんで特にわざわざ書いているかというと、丁度昨日読んだもので・・・。
山文京伝というと『七彩のラミュロス』やら『緋色の刻』が有名ですな。昨今珍しい短編ではなく長編を得意とする作家でもあります。ただそのせいで納得のいくものを挙げたいらしく、単行本化に漕ぎ着けるまでに大量の書き下ろしをするなど、制作にはとても長い期間がかかります。元々本作の一巻が発売されて以来二巻が出たのは四年半ぶりなんですよ。いくらエロ物で月刊誌がベースだと行っても少々このペースは遅すぎですよね。それは兎も角作者の特徴にはアブノーマルに誘う「調教要素」と「寝取られ要素」が上げられるでしょう。調教ものというと千差万別ですが、基礎はSM的な方向性である「一種男性のハーレークイーン」と言って佳いかと思われます。ピンクドリームの最たるものとして「変態」であることの筆頭とされていますが、一般の認知として性生活のマンネリ化からそちらに進むことも不自然では決して無くなってきているのではないでしょうか。ま、それ以前に男性がSであるということが確定ではないというのもありますけどね。兎に角そこについてはソフト・ハードの違いはあれどある程度の認知はされているものと考えられますのでこれ以上の説明はおいておきます。
もう一方の「寝取られ要素」というとちょっとわかりにくいと思いますが、外的要素の人物による浮気のハードなものと考えてください。妻をとある人物に取られてしまう、そんな話です。
山文京伝の新作『砂の鎖』は概略でいうなれば社長の息子の孫が両親が失踪したことでホストファミリーを捜しているということになっており、その孫が男の妻と娘を調教して奪っていく話です。
家庭で繰り広げられる陰鬱でねっとりとした快楽の宴から遠いところにいる男は最後の最後までその実体から遠ざけられ、それを知った後には家族は失踪してしまいます。同人誌で追加されたアナザーエピソードによると、その後男は会社の方であてがわれた秘書というより男の慰撫用の女で満足してしまい、孫が自分の妻を妊娠させた状態で相対します。
「夫婦の関係は強かったはずなのに夫への気持ちはもう何もなかった」
そう妻は気持ちを漏らします。夫の方の気持ちも落ち着いたようです。会社ぐるみで惚けてしまった社長の趣味である女漁りのおこぼれを頂戴して会社に尽くす・・・悲しすぎませんか?
もうね・・・確かにわかりますよ、わかりすぎるほどわかります。一般常識として夫婦間の愛情が長続きすることはないって事はね。確かどこかにデータが出ていて七年がその愛情のめどらしいってのも知ってますよ。所詮他人ですから。
でもね・・・やっぱり私がSだからかもしれないけれど、実に許し難いと思うわけですよ。無用な怒りがひたすらにたぎるんですよ!!!
復讐を、徹底的な復讐を!全てを捨てる復讐を・・・!!!
そう、実行すべきなんです。流されてしまって本当にいいのか。奪った者へ従属し諦観する、そんなことでいいのか。そんなにお前の価値は低いのか。悲しくなってしまいますよ。寝取られ男に感情移入するなんて愚かだとわかっていますよ。でもね、男側からすると可哀想なんですよ。ここで終わられてしまうと実に後味が悪いこと夥しい。昨日これを読んでからずーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっとイライラ居っぱなしなんですよ私。ここまでの怒りって久しぶり。なおここに書いているのもその怒りを静めるというか、吐き出すためであって特に他意はないです。
まぁこんな自分勝手に身もだえしてるのも所有欲が強いからなんだろうな。男性原理的に征服したはずの存在が奪われるわけだから・・・。それに我慢が出来ないから復讐しろと喚いているわけで・・・。
ある意味でお勧め、ノワール・バイオレンス好きにはね。あーーーーもう、西村寿行の失敗作読んだ気分だよorz。
やっぱり寝取られはよくないな。なんつーかエロに不感症なってるような行き着いちゃった人が読むべきかと。でも劇薬なので取扱注意。同じ寝取られを描いた『緋色の刻』と比べても10倍鬱。
ああ、それにしても殺すか、死にたいわもう。トラウマと相まって無用なストレス発生源になってる気がする。どうやって発散したものだか・・・。ああ鬱。仕事に影響するからマジでなんとかせんとなぁ。