私家版 このマンガがすごい!2006のパクリ

architectさんがたけさんに触発されてやった「私家版 このマンガがすごい!2006」に勝手に便乗。
男女の区別・今年一年に発売されたとか細かいことは抜きで。でも多分大丈夫。

五位 彼氏彼女の事情 津田雅美

彼氏彼女の事情 (21)
シリーズ完結ということで一応。ご都合主義な面が随分と覗いているが、それでもやはり面白い。最終回の部分はとんでもない分量を一回でやっているので必見。ここまで後日談を描けば続編を望む声も難しくなるぐらいなのは自明ですな。

四位 げんしけん 木尾士目

げんしけん 6 (6)
ヲタで有ればあるほど「あるある」となる痛い内容にのたうち回る「トラウマ本」。細かい機微に拘っている内容だが、最近はサークルクラッシャーネタに比重を置きすぎな気がしないでもない。だが、キャラクターが萌えの対象としても機能している点は評価すべきだろう。思わぬ所でのテコ入れなど、作者は読者が思っている以上にポイントが分かっている。最先端の萌え探求漫画であるのは疑いようもない。

三位 ハチミツとクローバー 羽海野チカ

ハチミツとクローバー (8)
破壊力抜群のギャグとすれ違いな恋愛模様を大学生をベースに描いている漫画だが、アニメ化もした。正直少年誌などに載っているラブコメは画一的に絵柄での萌え、そしてパンチラと即物的すぎる。故に女性にはほとんど受け入れられない結果になっている。しかし、ハチクロの場合は男女どちらでも抵抗無く読める内容を実現している。適度な笑いはスムーズな感情移入に最適だろう。笑いが理解できなければ流石に評価も落ちるだろうが、ストーリーは普通に面白い。唯一の弱点は一歩間違えれば絵本な表紙を見て内容に手を付けない可能性だ。女性ならば抵抗がほとんど無いだろうけれど、男性の場合はそうもいかない。おまけに本編に比べても表紙部分はファンシーでポップすぎる。しかし四の五の言わずにまずは読むことを勧める。

二位 のだめカンタービレ 二ノ宮知子

のだめカンタービレ (13)
ハチクロと同じくギャグと恋愛模様なお話。二ノ宮知子は天才が登場する話が大好きな作家なので、そこが気に入らない人もいるかもしれないが、のだめのキャラクターがアホすぎて笑えると思う。クラッシックのお話なのでそちらの方面に興味がある人であればほとんど無条件に楽しめると思う。ただ、クラシックに興味が無い人でも十分に魅了するその技は職人芸の域に達していると思う。読まずにいると勿体ない事夥しい。

一位 オメガトライブ 玉井雪雄

オメガトライブ 14 (14)
説明不要の面白さは二巻以降からとエンジン始動が遅い本書だが、目指せ世界征服という内容は非常にそそられる物がある。SFで言うとこういう壮大なテーマの場合はアーサー・C・クラークが得意としていたが、日本ではあまりお目にかかれないストーリーの一つでもある。大概『お約束』の「世界征服組織はヒーローに打ち倒される」のコードに引っかかっちゃうわけだ。一種の壮大なストラテジーを展開するマンガだけに他の追随を許す様な甘い展開にはほとんどならない。完結するまでどれだけの時間がかかるかわからないが、最後まで目が離せない話が続くのだろう。依然期待している。


それ五位以下は『BLACK LAGOON』と『ナツノクモ』、『ベルセルク』、『ルサンチマン』、『シグルイ』ぐらいかな。それ以下はほとんど団子。

作者は商業で活動する以前から注目してました。ま、同人の時からだから相当長いわ。この人の良さはやはり、コマの見せ方と、キャラクターのデザイン。デザインセンスはピカ一だね。丸みを帯びたフォルムの中にたたき込まれている直線が佳いアクセントになっている。男女ともに駄目デザインのキャラクターがおらず、それ自体同人誌のような体裁なのはちいとばかし問題ではあるものの、そんじょのそこらの画力の持ち主じゃ対抗できるレベルにない。
問題は斬新なコマ割をしすぎなために読み辛いという点かな。

ネトゲをベースにしたお話。ミステリーとして考えることが出来るぐらい作者の脳の中はおかしい。mmoが進化していくとこうなっていく可能性はあり得ると思えるような話が沢山あり、細かいエピソードも蔑ろにしない真摯な態度には好感が持てるのだが、ストーリーはスピーディーで詩的なタッチで進むので、読者の想像力如何なところが無いわけでもない。

ファンタジー方向へやってきたのは佳いけれど、展開が停滞気味になってきているので、結末が見えそうな感じなのがむずがゆい。それぞれのエピソードを描いていかないと最後に持ち込むのはアレだしなぁ。近いうちにクシャーンと新生鷹の団の全面戦争があるんだろうけどどんだけまだ待つのかわからんわ。

打ち切りになってしまった、ヲタクのためのマンガ。ある種「げんしけんの行き着いた果て」、「駄目すぎるナツノクモ」と言うような話。実に勿体ないこと夥しい。小学館はうちでの小槌のコナンは終わらせずに結構面白いマンガなんかは打ち切ったりとかするんだよなぁ。非常に痛々しい話なので、トラウマを負う決意を持たない人は読まない方が得策。
こういう話をドラマ化するといいのに・・・。

結構面白いことは面白いんだけど、どうにもギャグ方向の作品にしか思えないんだよね。バジリスクやらシグルイやら時代物の伝奇が漫画化されることは佳いことですな。この作者が生理的に駄目とか言うのはないんですが、朝目新聞での数々のネタを見るにつけ、それがどんどん堅固な物に・・・。(参考リンク:シグルイポンポコリン

ブラックジャックによろしく』は失速してしまったし、『リアル』や『バカボンド』はちゃっちゃと完結まで持って行くべきだし、『天上天下』も最近物足りない。マンガ業界も不作だねぇ。強さのインフレ化の制御はやはり重要だわ。なお、『おおきく振りかぶって』はまだまだ序盤なのでこれまでの内容だけでは今のところこれを評価する段階まで来ていないんじゃないかなぁとか思ったり。まだ二回目の試合をしているところだし・・・。このペースじゃ何処を結末に据えるのか?を考えないと永遠に終わらない。
うーん、対象を考え出すとどんどんタイトルが脳裏に浮かぶ・・・。こりゃあ収拾がつかないかもしれない。