西尾維新 クビツリハイスクール 戯言遣いの弟子

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あらすじ

人類最強の請負人」こと哀川潤が、「戯言遣い」ことぼく(いーたん)の家にやってくる。勿論下心ありありだ。笑顔のまま超強力スタンガンを当てられたぼくは三日間の記憶を失う。
気がつくと哀川潤の車コブラの助手席に乗っており、三日間のあらすじを哀川から聞かされるのだった。危機に次ぐ危機、生死の境をさまよう大冒険活劇を披露され、戯言遣いは鵜呑みにして信じ込んでしまう。命の恩人である哀川に恩返しをさせてくれ、と懇願してみると待ってましたとばかりに切り出す哀川。
なんでも澄百合学園という超が付くお嬢様学校にその格好で潜入して欲しいというものだった。はたと気付く。何故か戯言遣いは女性向けの制服を着ている。どうやらその澄百合学園という学校の制服のようだ。仕方がない命の恩人のためだ。戯言遣いは哀川の代わりに、助けを求めた紫木一姫を校外へ脱出させるために澄百合学園に赴くのだった。まさか日本版ER3の養成学校で、「知らない人を見かけたら気配を消して後ろから近づくこと」を習う学校だなんて思わずに・・・。

感想

昨日の本と同じく、地元の図書館では盗まれていて、他の図書館からの取り寄せ。図書館の本は綺麗に使いましょうよ、血が付いてるとか意味が分からんわけですが。
戯言シリーズ三作目。前二作と比べて厚さは半分、ストーリーの構成はまんまライトノベルという形。強引な話のもって行き方に性急さを感じるものの、それはそれ、ライトノベルだからと考えるべきなのかな。元々ライトノベルだっただけに、強調されても微妙な感じではある。ミステリーとして読んできた人には、本作はお勧めできない。ミステリー要素ほぼ0だし、トリックは結構使い古されてるしね。
例によって足手まとい且つ主人公扱いされない戯言遣い。まぁ、頭を使った立ち回りはいつも通りって奴ですな。哀川潤の初立ち回りが漸く見られるのはファン待望?ついでに制服姿のイラストもあり。ってこれじゃイメクラクラスの水っぽさしか無いけど・・・。
殺人と萌えという「バトルロワイヤル」風味の本作。「殺人と萌えライトノベルラーメン、ただし食べられませんみたいな」感じかねぇ。突飛ではあるものの西尾作品としては許容範囲。本人曰く無念無想の果てにこうなったとか。
萩原子荻ツンデレっぷりが個人的にツボでした。過去形なのはまぁ、仕方ないですがね。ただ、本作はあんまり見所は無いかも。哀川潤を活躍させるという一念でやってるくさいので、レトリック面やネタ、密室っぷりなどに力を入れてない。まぁ、初っぱなの状況そのものが、ショッキングで巻き込まれ系の力業なので勢いでもって何とかしようとする意志を感じますがね。キャラ先行なのはいつも通り。
結局次作の玖渚友との旅行の物語の伏線的、外伝的位置付けなのかねぇ。ラノベを求めてる人、単純にファンだという人には満足感はあるものの、ちょっと物足りないかな。何より分量が少ないのが不満かも。軽い物語は偶に読むと気分転換になって佳いんだけどね。最近ちょっと感覚がおかしくなってるのかもしれない。ノベル判200ページが短いとか感じるとか。
この本は戯言シリーズでも読まなくても良いかも。70点。
くだらなさは今までの中で一番。

参考リンク

クビツリハイスクール―戯言遣いの弟子
西尾 維新
講談社 (2002/08)
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