東野圭吾 怪笑小説
あらすじ
九篇の短編集
鬱積電車
満員電車描写
おっかけバアさん
俳優の追っかけ
一徹おやじ
星飛馬
逆転同窓会
先生達の同窓会
超たぬき理論
たぬきで説明
しかばね台分譲住宅
地価下落
あるジーサンに線香を
アルジャーノンに(ry
動物家族
人が動物に見える
感想
題名からして明らかにブラックユーモアを狙って書いた本書。単なる日常ショートショートとSFっぽいのの混成。
正直失敗だと思う。色々な分野に挑戦する事は有意義だが、失敗は失敗と割り切る方が善いかな。殆どがブラックユーモアというよりネチネチとしたキャラクターの感情吐露になってしまって、後味が悪いだけの話になってると思う。これがユーモアだとはちと考えにくい。ただ一遍を除いて感情に迫るものは何もなかった。まぁ、数打ちゃ当るだろうけどそれってどうなのよ?って感じですか。
短編だとやはり小松左京・星新一・筒井康隆のSF御三家で鍛えられてるから点が辛くなるのはしょうがないんだろうなぁ。
で、ただ一遍というのは何かというと、最後の「動物家族」ですわ。
ただ、これも着想一辺倒なきらいが無いわけじゃなく、勢いで書かれた印象を受けるわけなんですな。まぁ、後味悪くするならきちんと収拾をつける必要というのはあるとおもうのですよ。抑圧と解放の手続きは使い古されているものの、感情面での動静においては非常に効果的ですのでね。古典的とはいえこの手は大好きですわ。まぁ、ハードボイルド系*1で予定調和のように使われてるからって言うのもあるんでしょうがねぇ。
まぁ、気になった奴ではあとは「あるジーサンに線香を」か。あらすじにも書いたけど、まんま「アルジャーノンに花束を」ですよ。手続きも筋も。ただ、元ネタ読んでると醒めた目で読んでしまうので、元ネタ知らない人向けって感じですかねぇ。まぁ、日本の風土に即したもの書き視点って感じですが。そういえばユースケ・サンタマリア主演でドラマやってましたな。無理やり感が漂っていたので見ませんでしたが。荒川良々*2あたりでやらせれば精薄感が出せた上に、きちんと芝居してくれそうな感じでしたが、過ぎ去った事にあれこれ言っても仕方在りませんな。
点数的には60点ぐらいかな。「動物家族」だけの点かもしれない。
蛇足・・・未だに貸したままになっている「アルジャーノンに花束を」が帰ってきませんorz
もう3年になるのか・・・