池上永一 レキオス

あらすじ

沖縄天久開放地に絶叫する逆さの格好をした宙に浮いた女が現れ、アパッチ・ロングボウ二機を撃墜。その様子を見ていた女子高生デニスに憑依する。憑依した後、彼女は「友庵」を探してくれと頼む。とはいえ単なる女子高生なのでユタ(占い師)に居場所を聞く事に。このあとデニスは様々な事を経験する事になる。

感想

極彩色ですな。南国の雰囲気がよく伝わってくる内容。そしてギャグ。
ひたすらにゆうきまさみ鉄腕バーディーを連想させる内容です。(ぇ
あの人の雰囲気が好きであれば、読んで楽しいかも。
アメレジアンというどっちつかずの第三分類や沖縄の苦境も描いているけど、それでもやっぱり楽天的。でも内容は三千年の陰謀やら自らの欲望を満たそうとする天才科学者*1とかCIAとかSFとFTが渾然一体となって混沌の渦だったり。
まぁ、作者は書きたいもの書いて満足っぽいけど、正直すんなりとは終わってないから、続編あるの?と思わせる内容。ガジェット詰め込みまくってるけどあんまり感情移入できなかったなぁ。爽快感もなかったし。独特の空気感はあったけどね。セヂの概念はよくできてたとは思う。聖書物好きな人は読んで問題ないかと。
60点ぐらいかなぁ。

追記:そうそう、忘れてたけど、この本は導入部で損してるかもしれない。沖縄系文学の書き手として読み始めた人は善いかもしれないけど、私含め普通の人は「なんだこりゃ?」と思うだろうし。ここ最近シリアス系のミステリーばっかり読んでるからあれだけど、こりゃシリアスじゃ全然有りませんわ。ギャグです。息抜きしてくださいって内容です。

参考リンク

レキオス
レキオス
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池上 永一
文芸春秋 (2000/05)ISBN:4163192107
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ネタばれ

というか、単なる雑記
名前からして感じなきゃいけなかったんだけど、怪獣物を書きたかったのかな。レキオスと呼ばれるキンマモンはドラゴンというよりヤマタノオロチであり、キングギドラエピゴーネン且つ聖書の7つ頭で10本の角を持つ龍(アンチキリスト)。そういえば文中にモスラとか表現も使ってたな。
しかしまぁ、ソロモン王ですか。しかも大工(石工)の棟梁殺して秘密が分からなくなったってそりゃあソロモン王ネタならフリーメイソンネタも出てこなきゃおかしいですなぁ。
ただまぁそうなると、聖書からの典拠が多すぎな気もしますな。
へんに雑然としすぎで少女の成長物語ではなくなっている。魂を源流とする超人タイプの小説で努力とかそういう物は無縁(必ずしもそうではないが)かねぇ。
まぁ、147年前との連続性について時間の書き換えとか越境とかは面白いけど、琉球王朝とか琉球の風俗には全然興味が無いからなぁ。そこまで楽しめなかったわ。
ただ、人権なんて拝むだけ無駄という精神には大変共感が持てた。