恩田陸 木曜組曲

昨日に引き続いて恩田陸の本を読んでみた。
映画になったらしいが・・・。

あらすじ

もう主人の居ないこの家に、毎年主人の命日の週の木曜日をはさんだ三日間、5人の女が集まる。

時子:故人。うぐいす館の主人だった。「蛇と虹」でデビュー後寡作ながら着実に作品を書いてきた小説家。自殺した。

静子:時子の異母妹。父の事業を手伝いながら自分で小さな出版プロダクションを経営している。
絵里子:大学の講師をしながらノンフィクションを書いている。静子の母の妹の娘(静子の姪)。時子とは直接の血のつながり無し。
尚美:時子の弟の娘(時子の姪)。主婦業と兼業でサスペンス系小説を書いている。
つかさ:時子の弟の娘(時子の姪)。尚美とは異母妹の関係。歯科技工士をしながら純文学を書いている。
えい子:時子の編集者をしていた。殆ど家政婦のように時子と一緒に住んでもいた。現在「うぐいす館」を管理している。

主人の死から4年が経過して、また今年も会合が開かれる事になった。
前回との違いはただ一つ。フジシロチヒロを名乗る人物から届けられた華だった。一緒に届けられた手紙には「重松時子さんの家に集う皆様に」とあり、中には「皆様の罪を忘れないために、今日この場所に死者のための花をささげます。」
この場所に集う5人は時子の死が自殺ではなく他殺なのではないかと疑い始める・・・。

感想

冒頭は樋口一葉の「たけくらべ」で始まる。読了してから分かるが登場人物は故人も含め、皆物書きかそれに携わる人であるという事。また、登場人物はすべからく女性であるという事。樋口一葉を引用するのもなんとなく分かる気がする。作者も作家で女性というのが執筆の背景にあるんじゃないかとか勘繰るのは必然かねぇ。
なんかバックボーンがほとんど同じな人ばかりな「8人の女達」*1って感じもする。でも向こうの方が後なんだけどね。
読み始めはおばちゃんの井戸端会議的な感じでどうなるかと思ったけど、結末付近で3回ひっくり返るのはちょっと珍しいかなと。
ただ、全体として、キャラクターの特長を掘り下げるのが足らない印象と感情移入しにくい感が目立った。感情移入に関しては主格になるキャラクターが明確でないため難しいと思う。あと、キャラクターの掘り下げが出来てないため、読んでいてこんがらがる事がしばしば。登場人物表でも欲しかった*2
点数としては55点ぐらいかな。結末を評価してこれくらい。人物描写も緩いし期待はずれなのは否めない。
映画なら人物を取り違う事はないし、映像としてなら面白いのかもしれない。
ただ、映画は脚本で随分弄られちゃったりするから当るかどうかは賭けかも。

参考リンク

木曜組曲
木曜組曲
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恩田 陸
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*1:2002年に映画化されたフランスの劇“8 femmes”の事

*2:だからあらすじに自分で書いてるわけです