下妻物語

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下妻物語 スタンダード・エディション
東宝 (2004/11/26)
売り上げランキング: 2,163

ということで観たわけです。
内容的にはポップでキッチュでお馬鹿なコメディでした。ある意味すごいのは誰一人浮いている配役がいないこと。あの深田恭子ですら嵌っています。あー役者としてきちんと仕事が出来るんだなぁと妙に感心してしまいました。ヤンキースタイルの土屋アンナは迫力あって良いですねぇ。まぁ、個人的見所はそんなところかな。コメディとして荒川良々とか阿部サダヲなんかが出ているのでどこかクドカンスタイルを思わせますね。その為くだらなさは相当です。暇つぶしにはいいけど熱狂的に好きになるほどじゃない感じかなぁ。
ストーリー概略はロリータファッションに傾倒する桃子とヤンキー街道まっしぐらなイチゴが出会います。出会いのきっかけは桃子の父親(宮迫)が下妻に来る前に神戸でやっていた有名ブランド品のバッタ屋の商品を桃子が小銭ほしさに販売する旨の広告を出した事でした。イチゴはそれを見て桃子に手紙を出し、住んでいる場所が比較的近いので桃子が家まで商品を見ることを勧めたというわけです。
物語は二人の過去にも踏み込みます。桃子はどうしようもない駄目オヤジと水商売を生業としていた母から生まれました。母はその後桃子を取り上げた産婦人科医と不倫して家を出ました。父はバッタ屋の仕事が本家のブランドの方に気がつかれ神戸を捨てて実家の下妻へと桃子ともども来たというわけです。桃子は非常にドライ且つ自分の欲望に忠実な腐れ切った糞ガキでした。自分が良ければ全て良し、そんな彼女はロリータファッションのとあるブランドに夢中です。父親から涙を引き出す話をしては金を貰い受け、全てはそこにつぎ込みます。
一方イチゴは所謂高校デビュー組でした。普通の家庭に生まれ、普通に育ち、普通にイジメに遭う、そんな境遇でした。そんな彼女の心のよりどころは尾崎豊の歌だけで、その歌通りに夜の街を疾走し、パンクした自転車をもてあましているところ、出会ったのが族の頭を張っている女性でした。イチゴはその後あこがれを現実の物としました。しかし、頭が悪くてバイクの中型免許が取れず、未だに原付なのが玉に瑕だと本人は思っています。彼女は肩肘張る物の気っぷの良さは持っています。
そんな二人がつるむのはちょっと、いやかなり異質でしたが、イチゴの方が桃子を気に入っていたようです。桃子はいつも一人で、孤独に慣れきっていましたから桃子にベタベタされるのに居心地の悪さを感じてもいました。
ある日イチゴは敬愛する頭が族を卒業するということで敬意を表するためにトップク(特攻服)に感謝を直に示した刺繍を入れたいと言い出します。ただ、普通の物ではなくもっとぴっしりとした輝くような出来映えの物を求めていたので伝説のレディースのトップクに上り竜を刺繍したという代官山の刺繍屋を捜そうと言うことになったのです。元々桃子が代官山に詳しい*1という話でそういうことになったのですが・・・、結局見つからず桃子がやってあげることにしました。実は桃子の刺繍の腕は玄人裸足なので実に立派に仕上がりました。その後頭の卒業記念暴走とあいなったとのことでしたが、その卒業の機会となったのが子供が出来た・・・つまり男が出来たという物でした。実はその当の男性にイチゴは仄かな恋心を持ち合わせていましたから初恋は儚く散ったと言うことです。
イチゴのチームは代替わりをしたことで付き合いの悪いイチゴを締めようとします。フクロにされようとしているイチゴを救おうと桃子は祖母の原チャリで現場に向かい一悶着あります。そして大団円ってなところですかねぇ。
くだらないですが、くだらないからこそ好きな人も居るんでしょうねぇ。お互いが異星人のような異文化交流が笑いをもたらす類のいわば『だいじょうぶマイフレンド』的作品かな。
欲を言うならば深田恭子の立ち回りを殺陣付けてしっかりやって「キレたら怖い」をもっと演出した方が良かったんじゃないかなぁ。関西弁ももっと上手かったらなおよかったかと。
デフォルメされたプラスチックの手触りのするCGのカットはCM的な手法で中々革新的だけれど、笑いに直接結びつきにくいのが難点なのかも。だってこの話はギャグと友情がメインだろうからねぇ。
どうでも佳いけど音楽が菅野よう子、そして桃子の子供時代をtbsドラマの白夜行で雪穂の子供時代を演じている福田麻由子がやっていた。そこら辺がちょっと気になった。

*1:ロリータブランドの店があるのでよく行くのだそうだ。