年間ベスト

2005年締めくくり企画。年明けてますが気にしない気にしない(゚∀。)アヒャヒャ
再読物を除いた大体200冊ほどから新旧まとめてお届け。
ベスト=読んで欲しい本・満足できた本ですわ。

十位 貴志祐介 青の炎

青の炎
青春物のノワールってことで、同ジャンルの東野圭吾の『白夜行』もいい感じかもしれない。怒りと犯罪とその悲しき結末は一見の価値有り。ただ、新作の出来はちょっとあれだったので、追いかけるのは考え物かもしれない。
憎悪やら怒りやらの強く昏い感情に興味が全くない人の場合は厳しいかもしれないが、青春物の一途さを感じて欲しい。
・・・作者って相当に歳とってたのね。

九位 乙一 失はれる物語

失はれる物語
ライトノベルが仕事のベースの作者ですが、一般向けという体裁で編集されたこの本はライトノベルと切って捨てるにはあまりにも勿体ない珠玉の掌編集です。70年代黄金時代の日本SF御三家の如くわき出るアイデアには脱帽するよりありません。ファンタジー的な世界観だけではなく乱歩のようなブラックで爛れた妖しさを漂わせるホラー調の作品を書いたり実に器用な人でもあります。歳がいっている人こそ読んで欲しい本です。

八位 深町秋生 果てしなき渇き

果てしなき渇き
十位と同じく人を選ぶタイプのノワール系の物語です。こういった話を書く人は最近は貴重なので末永く活動して貰いたい物です。でも兼業なので、新作が出るとしても夏頃だとか・・・。がんばり所ですよ。第3回このミステリーがすごい!大賞受賞作です。

七位 奥田英朗 イン・ザ・プール

イン・ザ・プール
言わずとしれた諧謔小説として痛快な話です。日頃の鬱屈を晴らすには丁度いい内容かと。くだらなくて(褒め言葉)実にいいです。まだ私は読んでませんが方向性の同じ続編の『空中ブランコ』も『イン・ザ・プール』が面白かったら読んでみると佳いかもしれません。

六位 米澤穂信 犬はどこだ

犬はどこだ
作者はこちらではなくて通称『古典部』シリーズの方が評価されているようですが、個人的にはこちらをお勧め。オーソドックスな探偵物ですが、このオーソドックス具合と地の文の読みやすさでお勧め。

五位 夢枕獏 上弦の月を喰べる獅子

画像無し。
奇想と印象的な名文のファンタジーだかSFだか判断に苦しむミクスチャな物語。一風変わった現実とはちょっと離れた物語を読みたい人は読んでみると佳いかもしれない。宮沢賢治が好きな人に勧めたいところだが、あまりにも好きすぎると逆に嫌悪感が涌いてきそうで微妙なところ。日本SF大賞受賞作で大傑作。

四位 ダン・ブラウン 天使と悪魔(上・下)

天使と悪魔(上)
感想ではちょっとあれな事があった因縁の本ですが、それでもやはり面白い物は面白い。作者の著作では『ダヴィンチ・コード』の方が有名になってしまいましたが、宗教と結社を扱っている本作の方が個人的には好きです。ただ、この人の場合話が面白くなるまでのアイドル時間が長めなのでそれまで耐えて読める人というのが前提でしょうかね。衒学的な部分が嫌な人の場合は『デセプション・ポイント』の方がいいかもしれません。ただ、アイドル時間は上巻終了までと実に長いのでそこでうんざりしてしまう可能性もありますが・・・。

三位 浅田次郎 プリズンホテル春

プリズンホテル〈4〉春
プリズンホテルはシリーズ物なのですが、あえて最終巻を選んでみました。いや、第一作が悪いわけじゃないんですが、最終巻の出来が素晴らしすぎるんですよ。この最終巻を読むためだけに前三作を読むだけの価値は絶対にあります。ただ、あくまでもギャグなのだということを前提にして下手にフェミニズムを持ち出したり、暴力団だということで真顔で批判するとか野暮な事だけは言わなければ非常に楽しめると思います。ちょっと過激ですが・・・。
最終巻はニヤニヤ読めますよ。

二位 藤原伊織 テロリストのパラソル

テロリストのパラソル
オヤジパワーを発揮してくれた本作。オヤジ好きには是非読んで欲しい一冊です。予定調和感が気にならなければ、あなたの人生を彩る珠玉の一冊になることでしょう。ただ、作者は兼業から専業になったところでガンが発覚して手術するなどちょっとこれからが心配で不安です。是非とも五年生存率の関門をくぐって欲しいところです。

一位 西尾維新 ネコソギラジカル

ネコソギラジカル(下)青色サヴァンと戯言遣い
画像は(下)ですが、評価としてはこれはこれだけではないです。戯言サーガとしてまとめての一位ですね。中だるみは有るものの、一冊自体が伏線のための本とかちょっとまともじゃない構成だったりして実に愉しませて貰いました。来年も追いかけていきたい作家の第一ですね。
もちろんシリーズ物なので一作目の『クビキリサイクル』から読んでください。これだけ読んでもどうしようもないので。
京極夏彦の衒学的レトリックリズムが好きな人は結構行けるんじゃないかなぁ。
実に長大な物語ですが、それだけの価値はあるかと。

選に漏れた候補

殊能将之 黒い仏
特殊すぎるので薦めにくいw。
金城一紀 フライ、ダディ、フライ FLY,DADDY,FLY
無意味な民族臭さと事実と異なる説明がなければ最高なのに。
梨木香歩 家守奇譚
ゆるーい世界観が心地いいけれど惜しくも落選。
東野圭吾 秘密
個人的にトラウマだから。
麻耶雄嵩 神様ゲーム
気がついたのはランクを決めた後だったからor2
薬丸岳 天使のナイフ
今後に期待かな。
山本周五郎 さぶ
惜しくも落選。落選したけれども是非とも読んで欲しい一冊。