阿部和重 グランド・フィナーレ

第132回芥川賞受賞作の本作。ただそれだけの理由で読んでみた。短編集なのだが、グランド・フィナーレだけがまだましな作品という事であらすじはそれだけに絞る。

あらすじ

ロリペド親父の沢見が裏でやっていたペド向け写真が妻にばれて、DV訴訟・離婚・子供の親権剥奪と散々な目に遭い、それでも実の娘を血の繋がっているということ以外でも諦めきれない沢見はじたばたするがどうにもならない。
実家に戻った沢見はただブラブラするが、血縁からみっともないから止めてくれと言われ、実家の家業の文房具屋の店番をすることに。日々はただ過ぎ去るものだったが、昔の同級生から劇の指導員を頼まれる。罪滅ぼしとばかりに熱中するのだが・・・。

感想

これが芥川賞受賞は悪夢ですな。正直言って悪趣味極まりない、露悪趣味全快ですよ。グランド・フィナーレは正直話が完結していないし、どうなのよこれ?と思ってしまう作品ですわ。最低完結させないとねぇ・・・。
まぁ、話の中に出てくるペドの人は知り合いに類似項が居るから、分からなくは無いけど、ガキに欲情するなんざ下の下だとは思うんだよなぁ。最近のエロゲ観てみれば分かるけど、ほとんどみーんな等身低くて日本人はペドばかりと思うですよ。ロリータコンプレックスは言葉が間接的なのでロリコンと云うよりペドフェリアの方が直接的で正確でしょうな。
構文は夢見がちなところが多少あり、無駄が省かれているとは云いがたいが、気にならない程度。構成は悪くはないが、善いとは決していえない類。自己愛と自己憐憫の匂いがぷんぷんします。
前半部はなんとなく夏目漱石の「こころ」を思い出させ、頭の悪い女Iを表す時に、口語の書き方が村上龍っぽかった。他にも後半部の二人の女児のために劇をってやってるところは・・・現代版クリスマスキャロル?とか思ったりも。
出来は悪いです。グランド・フィナーレ以外の短編「馬小屋の乙女」、「新宿ヨドバシカメラ」、「20世紀」も出来が悪いです。馬小屋の乙女はオナニーの話だし、ヨドバシカメラは商業的過ぎるし(というか、無理して本に載せる必要はほぼない文章)、20世紀はソニーのために嫁さんとの馴れ初めを書いてるだけだし・・・。
なんか前に書評で読んだけど、ファンの間でもこの本は評判悪いらしいですよ。
なんか納得ですが。
点数は40点。薄くても内容が詰まってる作品を読んだ後に、これ読むとひたすら何がしたいんだろうと、ただくらげのようにダラダラ漂ってるキャラを描くだけのどうしようもない話はつまらなくてしょうがない。感情描写は偏執狂のそれだしねぇ。芥川賞やったのはトコロテン式に実績ある人間にお鉢が回ってきただけでしょう。この本に価値はなし。芥川龍之介の様に数十年経っても読まれる本では決して無いと思う。

参考リンク

グランド・フィナーレ
阿部 和重
講談社 (2005/02/01)ISBN:4062127938
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