平井和正 幻魔大戦

ええ、でましたよ、地雷がw。ネタに詰まったというわけじゃないんだけど、チョイスを如何しようか考え中だったり。最近はミステリー系ばかりだけどSFも紹介したいところだし、かといって面白い本に関してはジャンル関係無いし。
とりあえず知らない人が多そうな人を紹介する方向にして置く事に決定。ごく一部にしか知名度は高くないですからな。
平井和正氏は現在のライトノベル創始者といっていいでしょうな。更に原作漫画の創始者といってもいいでしょう。ただ、本人かなり思い込みが激しいのと、被害妄想が激しいのが玉に瑕ですが、作品と作者は別物ですしそこら辺は気にせずスルーで。まぁ、これもしかたありませんな、性格ですから。
元々小説家として世にたったはいいものの、当時は遅筆で量をこなせなかったということで生活は厳しく、漫画原作というものに関わり始めたのが始まり。エイトマンでは面白くなったあたりで共著者の桑田氏が拳銃所持で捕まりぽしゃったりしましたが、結局漫画原作は少し続けていた模様。「ぼくらマガジン」という雑誌を創刊したりしていたが、すぐに廃刊になったりしたのを尻目に基本として漫画原作はやめた模様。以降小説一本に絞り「アダルトウルフガイシリーズ」、「ウルフガイシリーズ」、「幻魔大戦」、「真・幻魔大戦」、「地球樹の女神」、「ボヘミアンガラスストリート」、「死霊狩り」、「月光魔術團シリーズ」とまぁこんな感じじゃないかと思う。案外少ないようにおもうかもしれないが、ある時期を境にして爆発的に書き飛ばしまくってる人だったりする。殆どがシリーズ物で、基本は新書本300ページくらいのものが普通に1シリーズ10冊ぐらい当たり前になりかかってるので、なんというか分量がものすごい。かといって、ダラダラしているのではなく、実に内容は濃かったりするから初めて読む人は驚くんじゃないかな。
悲しむべき事に一番好きなシリーズの「地球樹の女神」は本として完結しているのはハードカバーのみで、既に絶版。手に入れるとしたら相当大変なのが惜しい。まぁ、それに見合うだけの価値はあるので気が向いた人は、まずすでになくなってしまったアスキーアスペクトノベルズで1巻だけ読んでみて欲しい。ブックオフあたりに行けば100円コーナーに確実に転がってると思う。
1巻で「あーダメだ」と思ったら、あなたには平井和正には合わないだろう。「やべー、続き読みたいわこれ」と思ったあなたは、おめでとう、というか残念でしたって言うのが正しいんだろうか。ヒライストへの階段を上る事になると思う。ヒライストの楔は恐ろしいぞ、毎月1冊から2冊の新刊をチェックしなくてはいけなくなるからねw。

あらすじ

高校生の東丈(あずまじょう)はある日超能力に目覚め幻魔と呼ばれる存在と戦う事になる。だが、闘うにしたがって回りは自分を救世主(メシア)として持ち上げ、何故か宗教団体じみてくる。そして嫌気が差した東丈はこの世界を去り、滅びるがままにさせた。そして世界は破滅した。

感想

あらすじがアレなのはやるきがないからです(ぇ
何故なら、ヒライストの自分としてはこれはなかった事にしたい本だからです。これが書かれた当時というのは著者が某宗教団体に嵌っていて、救世主信仰にどっぷりでどうしようもなかったという背景があるため、内容もどうしようもなく宗教的にならざるをえなかったわけですよ。なので名前は売れているもののお勧めはしません。一応大友克洋のキャラデザで映画化されていますが、まだこちらを見た方がいいという出来です。本人はライフワークとしてやってたので、平行世界を描いたもう少し後期の作品である真・幻魔大戦の方が内容としてはきちんとまとまっているのでこちらを薦めたいところです。ただ、内容を理解するのに前作を読まざるを得ないという事はないにしろ、読みたくなるのを止める事は出来ないので、注意はしておきます。

確実に地雷です。

この無印シリーズの方は点数をつけるとしたら10点ですね。これは気にいる気にいらないという事だけでつけたものなので好悪の問題です。小説家としては好きですが、この幻魔関連の作品だけは点が辛くなるのも仕方ないですな、始まりが宗教がらみですし。
なお、元々は幻魔大戦は漫画原作の作品で、故石森正太郎先生の作画によって漫画化されています。なお複数種類がありまして、気になる人はチェックしてみるといいかも。
また、どこがラノベなんだよって思った方はアダルトウルフガイシリーズ、ボヘミアンガラスストリートシリーズ、死霊狩り辺りを読んでみてください。カドカワハルキ文庫、アスペクトノベル(古本屋)で手軽にゲットできますので。

追記:著者のHPに久々に行ってみてビックリ。作品の携帯配信が始まっていた。元々出版社とゴタゴタがあって地球樹の女神の出版がごたついて、最終的に出版社と裁判したぐらい出版社を信用していない平井氏は作品のデータ配信を日本で多分初めに始めたプロ作家だったと記憶しているが、よもやそこまで来ているとは。更に最近は作品をCDROM化して販売している模様。うーむ、本で読みたい(ぇ
まぁ、ゲットしにくかった地球樹の女神も一応買えるみたいだし、いい感じですな。
で、近況見て二度ビックリ・・・幻魔大戦deep(;´Д`)えー
まだやるの・・・orz
とりあえず、紙媒体で御願いだから出して頂戴・・・。

追記の追記:略歴とか作品の感想で終始していて忘れていたので、この作家の持ち味について一言。この作家はストーリー重視ではなく(勿論ストーリーは面白いのは勿論の事)キャラクターを人間としてリアルに描写する事を重視する傾向があります。リアルといってもフィクションに見られるリアルであって、ようは生き生きと描かれている、キャラクター同士の言葉のキャッチボールが巧い類の人です。また、作品を殆ど問わず、感情移入しやすい仕様となっています。なので感情移入して読むとあっという間に激流に飲まれるが如くどっぷり嵌ってしまう傾向があります。
惜しむらくは話のラストの区切り方ですかね。ピリオドを打つのが下手な作家といえます。
感情移入の点では初めて小説のキャラクターを殺したいと思ったという自分の中での金字塔を打ち立てた作家ですな(ぇ。
また、ONEやKanonAirの様なセカイ系な作品世界を構築するSF作家なのに何故にファンタジー?と思わせる芸の広さも持ち合わせていたりします。

参考リンク

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